第五章
「家族の未来予想図」
雄一さんの話を聞いていて自分たちの家づくりがどう間違っていて、どんな営業マンを求めていたかはわかりましたけど、どうせ伝説の営業マンなんて現代にはいないなら、もうある程度、妥協して建てないといけないのかなあって思ってきちゃいましたよ。
ホストみたいな人にはもう惑わされませんけどね!
だったら勇人くんは妥協するの?
いやそりゃ妥協したくないですよ。でもいないんですよね?伝説の営業マンが。
そういう人に当たる確率はかなり低いだろうね。だったら勇人くんならどうやって理想の家を建てる?
うーん、自分で勉強するしかないでしょうね。本とか読んで。
本を読むのもいいよ。ネットの情報よりかはね。家づくりはネットよりも本がおすすめ。でもやっぱり伝説の営業マンが行っていることを自分で勉強してやろうとしてもなかなかハードルが高いね。
じゃあどうしたらいいんですか!
お、ちょっと本気になったね。素人が勉強しても理想の家を建てるのは難しいよ。まずこれが第一前提としてある。まして多くの住宅のプロでもわかっていないんだから。
だからどうしたらいいんですか!
その前に改めて聞くけど勇人くんは理想の家を建てたい?
建てたいですよ!
だったら目指そうよ!一度の家づくりで理想の家を手に入れることを。家は3回建て替えないと理想の家にはならないなんて定説、覆してやろうよ!
いや目指しますよ!ここまできたら!
だったらやることはただ一つ。伝説の営業マンが行っていたことをするだけ。つまり未来を予想して家を作る。
いやいやいや、できないでしょ!それが!僕は預言者とか霊媒師じゃないんだから。
できるかもしれないよ。
え?
その前に今の住宅における構図をおさらいしておこう。
これ見ると自分たちがどこにいたかがわかるなー。でも一番上の伝説クラスはもういないわけでしょ…。
伝説の営業マンはいなくても未来を予測することや、家族のための時間をしっかりと取ることはできるでしょ?早く決めてくださいなんてお客さんになんのメリットもないよ。そこから切り替えていかなきゃ。
そうですね。もう切り替わってますけど。
そうなっていればもう大丈夫。道のりは長いかもしれないけど辿り着けるよ。
雄一さん、なんかすごく無責任なこと言ってません?
ごめんごめん。勇人くんご夫婦の家づくりに対する思いを知りたくてさ。でも大丈夫。伝説の営業マンに出会わなくても、勇人くん家族の未来を予測して、家族のための時間をしっかりととって、一回の家づくりで理想の家が完成する画期的な仕組みを私が作っておいたから。
え?なんですか?それは?
私も伝説の営業マンにはなれなかったけど、彼らの行っていることはよく理解できていた。お客さんの未来を予測し、お客さんと一緒になって家族のための時間を共有し、潜在的な部分からお客さんの本心を読み取り、それを家づくりに反映する。これができれば一回の家づくりで理想の家が完成する。もちろん私もそれを毎回、お客さんと行い、理想の家を建ててきた自負はあるんだけど、彼らの魔術じみた洞察力や読み取る力にはどうしても及ばないところがあって、それが常に不甲斐なく感じていた部分。
雄一さんで家づくりをお願いしてもそこそこの家は建ちそうですけどね。
そこそこ…。勇人くん、優しい感じなのに、時よりお母さんが顔を出すね。まあでも今までの私だったらそうだったかもしれない。でも私はついに完成させた。誰でも伝説の営業マンを手に入れられる方法を。これはもう革命だよ。
革命?
そう!伝説の営業マンが行っていたお客さんの未来を予測して家を建てるということが誰でも出来る「家族の未来予想図」というのを開発した。
家族の未来予想図?
そう!家づくりを始める前にまずこの「家族の未来予想図」を作る。それから家づくり、間取りとか、必要なものとかを決めていく、画期的なシステム。伝説の営業マンが無意識でやっていたことを可視化し、誰でもそれができるようにしたもの。これなら現代においても一回の家づくりで理想の家が完成すると確信している。
そんなものがあるなら早く言ってくださいよ。それを僕らも行ったら、理想の家が建つんですね?
建つよ。伝説の営業マンから建てるよりもさらにすごい家になることだってあるはず。
おー、なんかようやく光が見えてきたぞ!変な営業に引っかかって、さらに雄一さんから現代の家づくりの問題点ばかり言われてきたから、もうダメなんじゃないかって思いかけてましたけど、なんかそっちには希望がありそうですね。
家族の未来予想図に関してはこれから詳しく話すし希望になれるから大丈夫。でもこれだけはわかってほしい。家族の未来を予測しないで早く決める家づくりなんて自殺行為だってこと。それだけ家づくりの失敗は取り返しがつかない。それを伝えたくて、その悲劇をたくさん知っている者としてちょっと過激な表現もしちゃったけど、それがわかってくれたのなら嬉しい。
それはよくわかりましたよ。絶対に失敗したくない!
そう!そうなっている勇人くんご夫婦にこそこの「家族の未来予想図」はふさわしい。そういう覚悟というか、決意の上で完成させるとよりすごい未来が描けるはず。
家族の未来予想図か。どんなものなんだろう?
あ、そんなことより、伝説の営業マンに会ってみたくない?
え?もう絶滅危惧種で存在しないじゃないですか?
住宅業界ではね。でも昔、住宅業界でそうだった人はどこに行ったと思う?
どっかに移動したんですかね?
そう。住宅業界から移動して違う世界で活躍してたりする。その1人と会えたりするけど興味ない?
え?会えるんですか?
会ってみたい!
なら今週末、もう一度、この展示場においでよ。その人を連れてくるから。伝説の営業マンをね。
でも私たちはその人から住宅を提案してもらうことはできないんですよね?
もっとすごいことがあるかもしれないよ。楽しみにしておいて。
どんな人なんだろう?楽しみになってきた!
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