第六章

伝説の営業マンが住宅業界から離れて
磨きをかけてきたこと

そして週末、勇人くん夫婦が再度、展示場にやってきたのでした。

あれから夫婦で家づくりのこと、話してる?
勇人くん
話してますよ。雄一さんから今日、伝説の営業マンに会わせてもらえるって言ってもらってたからどんな人なんだろう?って楽しみにしてました。人の未来を予測するってどうやるんだろう?って。
みずきちゃん
雄一さんの話のおかげでもう並の営業マンでは満足できない感じになってしまってるんですけど、どうしてくれるんですか!あ、そう言えば正式にあのメーカーには断りを入れました。そしたらあの営業マン、超冷たくて!本性が見えたというか…、私ってバカだったなって。
勇人くん
でも変な家が建つよりもよっぽど良かったと思うよ。家づくりの良い勉強にもなったわけだし。
その通り。今の住宅業界では仕方がないよ。そういう営業マンが多いわけだから。でも今日、紹介する人は違うよ。私が見てきた営業の中でも超がつくほどの営業マンだから。その人は今、この扉の向こうにいる。開けてみて。
みずきちゃん
ど、どんな人なんだろう?ちょっと緊張する。

ガチャ

勇人くん
えー?伝説の営業マンって女性なんですか??
みずきちゃん
え?この方が営業?
加奈子さん
初めまして。倉地加奈子です。ちょっとちょっと伊藤さん、聞こえてたよ。なんか私のハードルを上げてなかった?伝説の営業とかなんとか。
いや、あなたが伝説じゃなくて誰が伝説なの?加奈子さんは私が会ってきた数々の営業の中でも最高レベルだということは事実だから。
加奈子さん
それは伊藤さんの見解でしょ?ごめんなさいね。なんかびびらせてしまって。私は普通ですから。
みずきちゃん
伝説の営業マンって雄一さんが散々言うから、ホストの最高調みたいな人が現れてくるんだと思いましたよ。全然違うじゃないですか!すごく優しい感じで。しかも女性。
勇人くん
なんかかなり僕たちの中でハードルが上がっていたからほっとしました。加奈子さんは営業をされていたんですね?
加奈子さん
19歳の時からずっとね。家具屋さんの営業から始まって、大手の住宅メーカー2社で働いて、その後大手の内装建材屋さんでも営業をしてたかな。
勇人くん
へえ。営業には全然見えないですね。物静かな感じだし優しそうだし。
そう見えるでしょ?それは仮の姿だよ(笑)
加奈子さん
ちょっと!もう変なことを言わないでくれますか(笑)
みずきちゃん
雄一さんが盛ってるだけでしょ。なんかすごく話しやすい感じ。ホストではないことはすぐにわかるし(笑)
せっかくだから加奈子さんにいろいろと質問してみたら?生きる伝説に。
加奈子さん
伊藤さんから聞いてるよ。家づくりで嫌な思いをしたんだって?
みずきちゃん
そうなんです!変な営業マンに私自身がそそのかされてしまって、それで夫婦の仲まで悪くなって、雄一さんのアドバイスがなかったらそのまま契約しちゃってたかもしれなかったんです!
加奈子さん
でも気づいて良かったね。住宅って本来、家族が幸せのために建てるはずで、家づくりって一番楽しい瞬間のはずなんだよね。でもみずきちゃんのその感じだとそうではなかったんじゃないかな?
みずきちゃん
ほんとそうです!家づくりって何が正解かがわからなかったから、「これが普通です!」とか「これが当たり前です!」って言われると、「そうなのかなあ?」って自分でも思ってしまって、そんなへんな状態の中でどんどん進んでいった感じで、気づいたら契約間近でした。自分でも「それでいいんだ!」って思ってたから、勇人に「このままで大丈夫?」って言われた時は「え?」って思ったけど、我に返った感じでしたね。そう、今思えば全然楽しくなかったな。
加奈子さん
家づくりって何回もやるわけじゃないから正解なんてわからないよね。でもハウスメーカーで建てたらそれが普通だよ。もちろん、そのやり方が合ってる人もいるし、みずきちゃんの場合は、踏みとどまったということは合わなかったんじゃないかな?
みずきちゃん
そうなんですよね。今ならはっきりとわかるんです。自分が望んでいた家づくりはあんな感じじゃなかったなって。じゃあどんな感じが理想か?って言われるとわからないんですけど、雄一さんは伝説の営業マンはもういないって言うし、もったいぶってぜんぜん答えを教えてくれないし、今日までずっとモヤモヤしてました。だから今日、すごく楽しみにしていたんです。そしたら、加奈子さん、すごく話しやすいし、伊藤さんとは違ってなんかどんどん話しちゃう。
わ、私と違って…。
加奈子さん
ど、同性だからかな…。みずきちゃんたちってそもそもなんで家を建てたいと思ったの?
みずきちゃん
えーと、子ども部屋が欲しくなったのが最初です。
加奈子さん
なるほどね。それでとりあえずハウジングセンターに行ってみたわけだね?
みずきちゃん
そうですね。ネットとかでいろいろと調べてその後、ハウジングセンターに出向いた感じです。
加奈子さん
そっか。多分それだと、展示場に行くと営業マンから、「じゃあ子ども部屋が欲しいんですね?2つでいいですか?」「ちなみに敷地は何坪くらいですか?」「それだと建坪は33坪くらいですね?」「だとリビングはこれくらいの広さになります」「定番の対面のキッチンをつけて」「希望の間取りに合ったプラン集があるのでこの中から選んでみてください」みたいに進んでいっちゃうんだよね。
みずきちゃん
え?なんで見えてきたようにわかるんですか!私たちがまさにそんな風に進んだ感じでした。
加奈子さん
でしょ?そうなると予算の話になって、限度もあるからその中で考えるとキッチンはこのグレードで、設備はこういったものをつけて、ライフサイクルコストのことも考えたら太陽光も載せておきましょう、みたいな感じでトントン拍子に話が進んでいく。
みずきちゃん
ちょっと…、私たちそのもの…。
加奈子さん
私は住宅メーカーに長くいたからね。その裏側をよく知ってるだけ。それが普通。とにかく早く決めてもらうことが最優先されるのが住宅業界。私の時代は、ネットがそこまで発達してなかったから、お客さんの知識もそんなになかったし、でも、考える暇を与えないというか、とにかく時間を与えない風潮はあったね。他のメーカーに行ってもらいたくないからね。まだそこでやるって決めてもないのに図面は出てくるし、見積もりは提示されるし、どんどんそこのメーカーでやるのが当たり前だと思い込ませるように持っていく。
みずきちゃん
それが普通なんですね。私たちもまさにそんな感じでした。地盤を調査したからお金をくださいとか、ここまでやったんだから契約してくださいとか、どんどん正しい判断ができなくなっていく感じでしたね。でもよくやってくれてるし、私たちのために一生懸命動いてくれてるし、情もわいてきちゃう。
加奈子さん
でしょ?そこまでくると、「これで断ったら自分が悪い人間なんじゃないか?」とみずきちゃん自身が思ってしまう。そうやって外堀を埋めていく。でもそんな家づくり、楽しくないでしょ?「契約後に楽しめばいいからまずは契約しましょう!」なんてことも言われたりする。私はインテリアコーディネーターだったからよくわかるんだけど、ほとんどのケースでバタバタした状態で間取りが決まって契約して、契約後、インテリアのコーディネートの提案に入る時、お客さんは間取りのことも、自分の家の仕様のことも全然わかってない、そんな状態で私のところに引き継がれる。これが大手のメーカーの実情だよ。
伝説の営業マンならそんなことはないわけでしょ?
加奈子さん
そうですね。でも少なかったですね。でも私の時代でもお客さんが100人いたら99人、ほとんどのケースで同じような経緯で契約をしてたかな。
みずきちゃん
昔でもそうだったんですね。
加奈子さん
そうだね。私が提案する時は、どうやっていたかというと、まずお客さんにとっての最適な生活をどういうものかを読み解いていく。お客さんは「リビングを広くしたい」とかそういう表面的なことは言えるんだけど、その理由を聞くとその理由を答えられなかったりする。だから私はそのお客さんでもわかっていない言葉の裏にある本心を解読していく。そうしていくとどうなるかというと、その人のこだわりの部分だったり、生活する上で外せない部分というのが見えてくる。それを元に、「あなたは家でこんなことが実現したかったんではないですか?」という問いかけをして、お客さんさえも見えていない本心からくる理想の家をお客さんと共に作り上げていく。これが住宅のプロとしての役目だと思うんだよね。
みずきちゃん
そ、そんなこと私たち、やってもらってない!
加奈子さん
でもみずきちゃんが経験してきたことが普通で、私がやっていたことが普通じゃなかったんだと思う。自分では普通だと思っていたし、私はこのやり方しかやってこなかったんだけどね。たぶんそれをしないとお客さんにとっての理想の家は建たないよね。
みずきちゃん、わかる?これよこれ。これが伝説の営業マンだよ。ね?私の言った通りだったでしょう?
みずきちゃん
雄一さん、ちょっとうざい。けど、住宅って営業によって建て方とか考え方がまったく違うんだなあ。そりゃ加奈子さんは売れると思う。
加奈子さんはお客さんから本心というか、心を読み取って、表面的な部分ではない理想がわかるってことだよね?読心術みたいな感じで。
加奈子さん
そうですね。わかります。お客さんと喋っていれば、その方が本当はやりたいこととか、隠されている欲求とかが手に取るようにわかりますね。だからそこを間取りや家の仕様とかに反映していく。そうすると結果的に、お客さんにとっての未来を予測した家になるみたいな感じですね。そういう家は、お客さん自身も愛着がわくし、あと、すべての部分にそれを採用した理由が生まれるから、お客さんもその理由を誰かに話したくなる。それを聞いた人がまた私から家を建てたくなる。こんな感じで進んでいっていたのかな。
勇人くん
読心術みたい!
そうなんだよ!勇人くん!加奈子さん以外の伝説の営業マンもその部分に長けていた。だから、その力で、お客さんの本心を読み取り、それが家の提案に繋がるから、1つとして同じものにならないし、結果的に未来を予測した家になっている。そこなんだって!これを2人に言いたかったんだよ!私はいいとこに気づくでしょう?
みずきちゃん
めっちゃめんどくさい…。まあでもこういう出会いに繋がっているんですもんね。
加奈子さん、そういう読心術みたいなものを身につけているわけじゃない?住宅時代も一切スランプもなく売れ続けて、今は住宅業界を離れてコンサルタントをしてるわけだけど、その力は今の仕事に役に立ってるの?
加奈子さん
この力しか役に立ってない(笑)私のこの力を求めて、クライアントさんたちはお金を払ってくれてるし、ありがたいことにコンサルタントになって以来、私は仕事で困ったことがないんです。それどころかいつもいつも仕事が多くてパンクしてしまう。コンサル業界も住宅業界とまったく同じ。お客さんの未来を予測できる人がいないからそこに人が集まっちゃう
勇人くん
へえ。そんな忙しい中、来てくれたんですね。
勇人くん、ただ来てもらっただけじゃないんだよ。私は倉地加奈子さんをエーテルに引き入れた。この方の持っている読心術をどうしても手に入れたくてね。私は倉地加奈子さんに、自分の会社の理念を抽出してもらうサービスを受けた時に、すごい力を持っている人だと感激した。私の中から私の本心を読み取り、私が目指したい世界を言語化してくれた。それで私の経営者としての理念が今、あるわけだけど、正直、その力に感激した。そしてその力を自分の持っているものと掛け合わせたら、すごいことができるんじゃないかって震えた。これなら住宅業界を変えられる!って。
勇人くん
へえ。なんか熱いですね。
加奈子さん
私ね、住宅時代にはお客さんの心を読み取って、未来を予測して家づくりに反映することくらいしかしてこなかった。でもコンサルタントとして独立して以来、私はその力をさらに改良して、本心から来る未来予想図のような図にすることで、クライアントさんたちの理念だったり、商品開発だったりのお手伝いをしてきたの。だから今の私は、お客さんの心を読み取るだけじゃなく、それを言語化できる図にすることまで可能になってる 。だからこそコンサルタントとして経営者さんや起業家さんから仕事の依頼が絶えないわけだけど、この心を読み取り図にする力は、もう一度、住宅業界で使うべきなんじゃないか?雄一さんから力を貸して欲しいと言われた時、私の中で情熱みたいなものが湧き上がってきたんだよね。
勇人くん
あ、それが雄一さんの言っていた「家族の未来予想図」か!
その通りだよ、勇人くん!勘が鋭いじゃないか!元伝説の営業マンが住宅業界を去り、他のジャンルでコツコツとその技術に磨きをかけ、驚くべき進化を遂げていた。もう出会いだと思ったね!この力と私の持っているエーテルの提案力と施工力、さらには最新のシステムを扱っているという強み、これが合わさった時、私は住宅業界を変えられると確信した。あ、あともう1つ、私の息子が自分で言うのはあれなんだけど、現場監督して優秀で、本当に良い家を建てる。なんか、ずっと求めていたもの、探し続けていたものがこの歳になってすべて見つかって揃ってようやく完成した感じになったんだよね。
みずきちゃん
ということはもしかして私たちは加奈子さんに提案をしてもらえるってことですよね!?
そうだよ。提案というより加奈子さんには、読心術の部分、つまり「家族の未来予想図」を作るときに携わってもらう。それができたら今度は私がその図を元に間取りを作ったり、建物の中身を決めていったりする。そして最後に私の息子が現場監督として最高に家を完成させる。この三拍子で携われるのが今の私たち。
勇人くん
なんですかそれは!最高じゃないですか!戻ってきた進化した伝説の営業マンの読心術で僕らの本心を抽出してもらい、それが家に反映されてさらにしっかりとした家が建つってことですよね?もったいぶっていたのはこれだったんですね?
そう。実は私はこの最後のピースを見つけるためにこれまで40年間、住宅に携わってきたような気がするんだよね。読心術のスペシャリストを手にいれるためにね。私にその能力はないことはないけど、言語化するという力までは及ばなかった。そもそも、そんな人は世の中にいないよ。でもそれができたら、誰でも1回の家づくりで理想の家を建てることが可能になる 。そんな家づくりをずっと夢見てきた気がする。工務店はね、私の会社だけでなく、メーカーとは違う路線を常に歩んできた。どうしても工務店は地域密着だから人間関係は密になるし、だからこそ、その人その人に合わせた間取りの提案や、施工技術の向上に努めてきた。私は100以上の全国の工務店の繋がりを持っているからそこはよくわかる。でもそんな私たちが人間関係が希薄な大手のやり方に負けてしまうことが多々あった現実 。売り方が大手の方が断然上だった。でも今、大手においても本物の営業マンがいなくなり、益々、家づくりがおかしな方向に向かっている。多様性を認めるって、ただただお客さんのことを聞くだけの提案なんて不要だよ。それよりもお客さんの本心を読み取り、未来を予測した家を提案すること 。今は大手でもそれができていない。だったら私たちがやらないと。そんな使命感が倉地加奈子さんを私に引き合わせ、「家族の未来予想図」というツールの開発を成功させた。それを2人に伝えたかったから、これまでまわりくどく話してきたわけ。
加奈子さん
私とエーテルで行う家づくりは一般的なやり方からすると非常識で時間もかかる んですよね。でも一回で理想の家を建てたいと思う人がいるならあえて時間をとって「家族の未来予想図」を作る時間は決して無駄にならないはず。私は雄一さんの熱意に心を動かされ、エーテルに協力しようと思ったんだよ。ちなみにエーテル以外、こんなことはやってません(笑)
勇人くん
へえ、雄一さん、すごいじゃないですか!「言ってることはよくわからないけど情熱的な人だよ。だからあの人の周りにはいつも人が集まってくる。」とは母からも聞いていたので。それで母も雄一さんを僕に紹介したんですね。
私は恭子ちゃんに言っていることがよくわからない人と思われていたのか…。
みずきちゃん
なんか霧が晴れた感じ!それでその家族の未来予想図ってどうやって作るんですか?

コラム

思いやりの心こそ
家づくりには必要

私が小学校2年生の頃、母が祖母との確執により精神的な病になり、突然、自分からは母がいなくなったような体験を経験しました。

母の精神的な疾患は重く、当時はそんな病気さえ認識されていない時代。医者からは今では放送禁止用語の呼び名(き●●●)を母につけられ、でも「私は母はそうではない!」と信じて、すごく悔しい思いをしながら育ったのが私の幼少期でした。

母がそんな状態になったので父は離婚を決意、ある夜父から「お前は俺とお母さんのどっちを選ぶんだ?」と話された時の光景は今でも目に焼きついています。

その時、私は本心から父にこう返しました。「どっちも選べない…」迷うことなく自分の口からこんな言葉が出たことに驚きましたが、その言葉を聞いた父の態度が明らかに変わり、「そうだよね。ごめんね…。」と返ってきた時、父の弱い姿をはじめて見たように思います。

その後、父は、動けない母に代わり、一人で二人分の働きをして私たちの家族を支えてくれました。洗濯、料理、仕事、祖母の看病、母の通院の手伝いまですべて一人でこなし、そんな父の努力も虚しく、母の病気が良くなることはなく…、大人になるまで過ごした、それが青年期の私でした。

母がそんなことになったことで、周りは「お前のところ大変だよな。」と哀れんだ目でいつも見てくるのですが、私としては何も不幸せを感じることはなく、それどころか、一人で二人分の働きをする偉大な父と、病気になる前と少し病状が良くなった時の母の思いやりの深さを常に感じて、愚れることもなく、21歳で起業するまで。私は両親に大切に育ててもらったという感謝の気持ちしかありません。

私たちの家族にあったものは、豪華な生活でもなく、母が病気なので明るい家庭でもなかったですが、1つだけ、”思いやり” が溢れていた。もしかしたら母が病気になったことでそれがないと、家族がバラバラになってしまうからこそ、父や母、そして私に、人に対して常に思いやりを持って接する習慣を植え付けていったように思います。

ただこの私の性格、”誰かに思いやりを持って接すること” は、時に誰かにとっては重くなったり、変な人間に裏切られたりと、マイナスを作ったこともあるのですが、幼少期に培われたこの性格は変わることなく、常に同じような生き方を貫いてきたんですね。

従業員6人にいきなり裏切られ会社を乗っ取られたこともありました…。そのショックでがんになり、手術をしたら診断ミスでがんではなく、ただお腹を開けられただけという不幸を体験しました…。人生いろいろあったことはあったのですが、その度に私を救ってくれる人もまた、思いやりがある人だったりしたことで、「人が生きる上で、思いやりを持って接することが一番大事なこと なんだな。」それが自分のポリシーのようになっていきましたね。

思いやりの心。これさえあれば家族は壊れない。たとえおかしくなっても修復ができる。それを私は人生の中で体験してきた。だからこそ、自分が子どもを持った時、子どもたちにもそれを伝えてきたし、大人になった息子娘たちが、家族を持って幸せに暮らしていること。そして私と妻、子どもたち夫婦と良好な関係を築けていることに今、この上ない幸せを感じるんですね。

これまでたくさんの家を建ててきましたが、失敗する家というのは、売り手はもちろんのこと、お施主さん側も急かされて、考える暇をなくした状態で建ててしまうことで、”双方に思いやりの心がかけた状態” で完成してしまった家である という特徴があります。そしてそれがこの業界のやり方として定着してしまっている。それしかやり方を持ち合わせていない。だからこそいつまで経っても住宅業界は同じまま。

私のこの、おせっかいで、人を思いやって接するという性格は、時に理想の家を完成させることも多々あって、それがこれまで住宅人として歩んできた私の働き方だったように思います。住宅こそ思いやりの心が大事というこのポリシー。40年もこの仕事をやめられないのもそこに理由があります。

私の理想としてずっと、お施主さんに思いやりの心で接して、お施主さんに思いやりの精神を全開して家づくりに望んでもらいたい。それを全員の人に行いたい。そんなことをずっと思ってきた。だからこそ今、倉地加奈子さんと出会っていると思うんですね。

うーん、なかなかこの思いやりという部分は説明しにくいのですが、あえてわかりにくくも言葉にしてみました。また何を言っているかわからない人と言われてしまいそうです…。

ということで次の章がいよいよ最後になります。ぜひお付き合いくださいませ。

今すぐでも読めます

DAY2は明日、届きますが、今すぐ読みたい方は先読みもできます。以下の簡単なアンケートを提出して今すぐ読んでみてください。

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