第三章

一戸建てでしか実現できない
すごいこと

財前様、改めてお聞きしますけど、先ほど「安い家でいい」「家づくりに疲れた」なんておっしゃっていらっしゃいましたけど、どんな経緯でそう思われたのですか?
財前さん
ん?これまでたくさんの展示場を回ったんだけどさ、営業マンが口を揃えて言うわけよ。「このキッチンを入れたらSNS映えしますよ!」とか、「この最新のトイレは最近、有名なyoutuberが紹介していたものです!」とかさ。まあそれも、ちょっとはいいとは思うんだけどさあ、それがおたくで家を建てるって理由にはならないだろう?って思っちゃうわけ。そんな設備なんてお金をかけたらいくらでも良くできるわけで、どの展示場に行ってもだいたい説明が同じなのよ。お前ら住宅を売ってんだよな?って。設備屋じゃないよな?って、思っちゃう。それもあって、最近では家の営業マンが嫌になってきちゃってさ。
なるほど。でもこれ、しかたがないところがあるんですよね。今はネットやSNS全盛の時代ですから、インスタグラムを見れば、「おすすめのキッチン5選!」みたいにインフルエンサーと言われる人たちが煌びやかに紹介したりしますからね。そういうのに影響を受けるお客さんはかなり多い。だからメーカーもそれに乗っかって売ることを考えてますからね。今の時代は「周りからどう見られるか?」という部分をみんな気にしますから、そこを営業もくすぐってるし、それで実際、売れちゃったりしますからね。
財前さん
なるほどな。俺なんか正直、そんなのどうでもいいんだよな。ある程度稼いだし、一度、失敗もしたからな、そういうの、もういいんだよ。周りからどう見られるとかは。
奥様
あなたも昔は、あんなに周りの目を気にしていたのにね。
財前さん
昔はな。今はもういいよ、そんなの。
財前様は成功もされて、そして失敗も経験されて、ものごとの大事なものとは何か?ということが理解されていらっしゃいますけど、残念ながら多くの方が、家づくりを、「周りからどう見られるか?」とか「映えるか?」といったような、承認欲求を満たすために考えてしまう。潤沢にお金がある場合にはそれでもいいかもしれないですけど、それを限られたお金の中でやろうとすると、どんな家が出来上がると思いますか?奥様。
奥様
え?家がちっちゃくなる?
その通りです。見た目の煌びやかな部分にばかりお金をかけることになって、結果的に狭くなったり、本当はかけるべきところにお金をかけられなくなって、生活をしていく中で我慢が発生する家が出来上がりがちなんですよね。
奥様
ふーん。そんな家の中で育った子どもってどうなっちゃうんだろうね。
なんとなく自由ではない子どもが育ちそうなイメージが想像できますよね。せっかく新しい家を建てたのに我慢しないといけないわけですからね。ご両親の見栄は保たれるかもしれないですけど。極端な例ですけど、新築を建てて、いつもインスタに煌びやかなキッチンでの料理の写真をアップしてるんですど、実際はスーパーのタイムセールで1円でも節約しなきゃいけないような生活を送っている人だっている。ちなみに僕の知り合いなんですけど、これって正直、本末転倒だと思うんです。僕としてはそうなる前にどうしても言いたくなってしまう。
奥様
なるほど、その家は少なくとも子どもにとって最適な家とは言えないわね。
そうです。ここは強く言っちゃいますけど、限られた予算がある方に限っては、”映えるための家” を一番に考える家づくりは危険です。ほとんどのケースで住んだ後、我慢が発生する家になる。こうなる一番の原因は、”家自体の金額が昔に比べるとかなり上がってきていること” に一番の原因があります。日本人の所得は増えていないのに住宅の価格だけは大きく上がっている。だから必然的に設備にお金をかけるとその分、家にしわ寄せが来てしまうようになっている わけですね。今の住宅はどこにお金をかけるかを真剣に考えないと、昔の家のように全部を満たすことはできない です。30年前と比べて家の坪単価は倍かそれ以上になってますからね。
財前さん
なるほどなあ。物価上昇が家づくりにもそんな影響を与えていたのか…。この前なんかも、例の換気扇がウィーンって浮き出てくるキッチンを見せられた時も営業が、「このキッチン、インスタで紹介されてるんですよ!すごいでしょ!」みたいなことをアピールしてきたけど、それで俺に響くと思ったのかなあ。よっぽど俗物主義に見えたんだろうな!俺インスタやってねーし!
奥様
だから最近、あなた、営業マンが嫌いだもんね。秀弥くんにも最初、あなたの当たり方がひどかったし。
そういうことでしたか。なるほど。あ、でも僕は営業ではなく監督ですから。
財前さん
え?秀弥くん、監督なの?
そうです。現場監督です。
財前さん
26で?へえ。
僕としては、現場監督の立場としては ”お客さんには「家」を建ててもらいたい” と思ってるんですよね。家をキッチンとかの「設備」を選ぶのではなくです。その選び方だったら別にマンションでもいいし、箱はなんでもいいってことになりますから。
財前さん
そうなんだよ!だから家づくりが嫌になっていたわけ。オタクらの箱はみんな同じなのか!箱の説明はどうした?って。それもあって、だったらどこでもいいや、住めればいいやみたいになっていたんだよ。
偉そうに言う僕も、ちょっと前まで家づくりに対してわからなくなっていましたからよくわかります。現代の家づくりにおける環境は、学べば学ぶほど、情報を取り入れれば取り入れるほど、よくわからなくなる し、家を建てたいと思った時の初心を忘れさせるようになっている と思います。SNS全盛の時代ですからね、目移りするだけの情報はたくさんある。それもあって、ここに来る方の多くの人が、「箱なんてどこで建てても同じでしょ?」なんてことをよく言われますがそんなことはありません。
財前さん
でも、秀弥くん、今ではどこも性能はいいんじゃないの?実際、みんな「住宅性能は高いですよ」ってうたってるぜ?
確かに昔に比べれば、地震が来たらすぐ壊れちゃう家とか、隙間風が吹き込むような家はさすがにないと思いますし、どこのメーカーも壊れないことは当たり前になってきています。でもそうなると今度は、住宅の性能競争みたいなことが起こっていて、気密断熱性とかの数値を競い合っているんですが、今度はなんのための競い合いなのかがわからない、”性能値だけの争い” なんてのが起こってる、もはや気密断熱性能値神話、「気密断熱性能値さえ高ければいいんだ!」みたいな、ですね。でも、”そもそも気密断熱性が高いと何が良いのか?” を考えられたことありますか?ご主人様。
財前さん
気密断熱性ねー。良く聞くな。ん?確かにそれが高いと何がいいんだ?冷暖房費がかかりにくいとか、一年中、あったかいとか涼しいとか?
そうですね、冷暖房費がかかりにくいのはあるかもしれません。が、気密断熱性を上げていったら本当に一年中、あったかくて涼しいのでしょうか?例えば、気密断熱性が著しく高いマンションは、それを実現してるのでしょうか?
財前さん
いや!そんなことはないね。今俺たち、マンションに住んでるからわかるけど、北側の部屋なんてカビだらけで寒いし、匂いがこもって、そこにはいたくないから倉庫になってるよ。
そう。それが良い例だと思います。マンションって気密断熱性って最高レベルなんですよ。でもそのマンションって、気密断熱性能をアピールしてるでしょうか?一戸建てだけなんですよね、それやってるの。じゃあ、なんのために一戸建て住宅の気密断熱性能を高める必要があるのか?ということなんですが、僕は、”家自体を魔法瓶のように包むことができるメリット” だと思うんです。これが一戸建てでできるとマンションでは決してできない、あることができるようになるんですよね。
奥様
家自体を包むメリット?へえ、そうすると何ができるの?
”家全体の空間のコントロール” です。魔法瓶はその中身に何を入れるかで真価が発揮されますよね?温かいスープを入れておけばずっと温かいままですし、氷の入ったお茶を入れれば、夕方まで冷たいお茶を飲むことだってできる。つまり魔法瓶の中は、中身に何を入れるかによって、ずっと一定にコントロールされる環境が決まる わけです。
奥様
なるほどね。
ならそこに ”秋という季節という中身” を入れたらどうなるか?一年中、その季節を維持してくれるはずですよね?この発想に至った時、家を魔法瓶にする理由がはじめて出てくる。魔法瓶もそもそもそのためにありますから。気圧、温度、湿度、空気環境を一定に保ってあげるシステムは、家という魔法瓶に、秋という中身を入れ込めるわけです。
財前さん
秋という季節を家という魔法瓶に入れ込むのか…。それは一戸建てでないとできないわけだな?
できません。しかも本当にそれを実現するとなると、家自体を完璧な魔法瓶にする必要がある わけで、それにはかなりの施工レベルの高さが要求されます。レベルの高い職人さんが必要だし、その人たちをまとめて管理できる監督が絶対に必要になる 。正直、気密断熱性能値だけ上げようと思えば、隙間に気密テープをベタベタ貼りまくれば、数値だけなら上げることはできるんです。そんなことをして無理やり数値を上げなくても、基本住宅性能だけで気密性の値なんて勝手に上がる。最初から隙間がない家を作ればいいわけですから。
奥様
確かにそうね。
ええ。ちなみに僕の現場はテープなんて貼りませんし、そんなことをしなくても性能は十分すぎるほど出せるんです。僕はそういうレベルの職人さんたちを持っているから、僕の建てる家の基本の住宅性能にもともとの自信があったんですね。レベルの高い職人を束ねる監督として。完璧な魔法瓶の家を作れる自信があった。
財前さん
ほう、すごい自信だな。
はい。でも、その魔法瓶に入れる ”中身” が見つからなかった…。そんな時、僕の作る家に入れるにふさわしい中身を新潟でとうとう見つけた。それが、気圧をはじめとした空気環境をコントロールするシステムだったんです。「これだ!」と思ったし、これなら職人さんの施工技術が生かされると思った。このシステムと僕の建てる魔法瓶の家が組み合わさった時、一年中秋を実現できると確信した。そしてこの家は、僕の家族のためにもふさわしいと思った。
財前さん
なるほど。秀弥くんは現場監督としてお金を払っても良いと思える建てたい家を探していたわけだな?
そ、そう言われればそうですね…、確かに。今思えばそうかも。ありきたりな家は現場監督としても建てたくなかった。そして、お客様に提案する家もやっぱり、自分で作りたい家にしたかった。それがあったから、余計に理想の家が見つからなかったのかもしれません。あとはあの震災での出来事も大きかったですね。子どもたちが書いた絵にあったような家を建てたいと思っていましたからね。あの絵の衝撃が大きすぎて、「あのイメージにはとても到達できていない…」と…いつも考えてしまって、それでもう、なかば諦めていた時の出会いでしたから、余計に衝撃が大きかったんだと思います。
財前さん
そういうことか。で、実際に建てて住んでみてどうよ?
予想通り、いや予想以上でしたね。この家はまさに家族のための家、住む人のポテンシャルを120%発揮させる家だと思います。そしてこの家こそ、”現代における最高の家” であると確信しています。空間をコントロールして季節を一年中一定するという概念を実現することができる、まさにこの家こそ、 ”次世代の家” だと自負しています。
財前さん
なるほどなあ。そこだったか…。俺がお金をかけるべきところは。日本の気候も年々酷いことになってるしな。家の中だけは一年中秋…。そこならお金をかけるに値する気がするよ。家はやっぱ箱だもんなあ。
わかっていただけますか!財前様のような方にそう言ってもらえて大変嬉しいです。現場監督として、仮に良い設備を入れた家を建てても、お客さんは喜んでも、職人さんは特に喜ばないことをよく知っている。そうではなく、職人さんたちの施工技術の高さが、ちゃんと住む人の暮らしやすさに直結してわかるもの、そういう家であれば職人さんだって嬉しいはずだ。僕は現場監督としてずっと求めていた気がします。住宅性能をしっかりと実現しても、住む人にとって施工技術の凄さはわかりにくいですから…。でもこの空気環境をコントロールするシステムと箱の良さが合わさると、気密性とか断熱性の高さを肌で感じることができる。住んだ瞬間から、なんなら、今寝ているターくんのように、家に入った途端に、その住みやすさを肌で感じることができる。住む人にとって非常にわかりやすい。これなら職人さんも自分の仕事が認められている感じがして嬉しいんですよね。
財前さん
…。さっきは若造なんて言って失礼した。わかってるね、秀弥くん。そう、仕事なんてのは全員がWINWINじゃなきゃ続かないんだって。そういう構図になっているものは長く続くし、買う側としても納得できる。だから欲しくなる。今になって俺も、もうちょっと従業員のことを考えるべきだったと痛いほどに感じてるしな。その配慮が足りなかった。
今回、家族のための家を考えると、さらにご主人様が求めていたものがクリアになるかもしれません。特にマーくんとの付き合い方とか、ですね。
財前さん
…うーん、確かに。なるほど。そのためにもやはり俺は今こそ、家族のための家を考える必要があるようだな。改めてそう思うよ。家も会社も結局は人だからな。
奥様
あなた…。
面白いですね。父も同じことを言っています。家づくりは人づくりだと。
財前さん
やはり親父さんとは気が合いそうだな。
はい。

コラム

僕が現場監督になったワケ

東日本大震災の被災地を訪れて以来、僕は建築の道に進むことを決め、自分の人生の方向性を変えたことは前回のコラムでお話しした通りです。

その後僕は、建築系の大学に進んだのですが、大学在学中の3年生の頃には、卒業とともに父の会社に入社しようと思うようになっていました。そしてその意思をなんとなく父に言うと、「そんなのは絶対許さない!」とすごい勢いで反対されてしまいます。ただ、この時の僕には、反対する意味がわからず…、ふてくされた僕は、ふらっと父の会社の建築現場に足を運んでみることにしたのでした。

そこには、父の建てる家を長らく請け負ってくれている大工の棟梁さんがいて、その方に「父の会社を継ぎたいと思うんですけど、入らしてくれないんでどうしたらいいですか?」と聞くと、なんとその方も「そりゃそうだ!親父さんが正解だよ!」と豪快に笑うのです。しかしその時、その棟梁さんは僕に、父の会社を継ぐなら、僕が選択すべき方向性を示してくれました。

彼が言うには良い家を建てるためには「監督」が一番重要だと言うのです。いくら良い大工がいたとしても、そこに良い監督がいないと、職人さん個人個人が好きなように仕事をしてしまい、結果、各所がバラバラで統一性がない家が出来上がること。逆に良い職人を良い監督が管理すれば自然とすごい家が出来上がることを説いてくれたのでした。

棟梁さんは正直、とても怖い方ではあったのですが、その時は、僕に対して非常に温かく親身になってアドバイスをくれたんですね。今思えばこの方こそ、僕の人生にとってのキーマンの方だったように思います。

“父の会社に入る前に働くための場所としてどこで働くか?“棟梁さんの助言が正しいと思った僕は、すぐに現場監督をさせてくれる会社を探すことにしました。そしたらあるものですね。「監督募集!」と書かれた、とある工務店の求人募集を見つけ、その会社に入社することを決めました。

入社してすぐ、僕の歓迎会が開かれたのですが、そこには営業マンや現場監督、その他の従業員の人たちがいたのですが、その場で僕はいきなり、「すぐに現場監督をやらせてもらえなければ会社を辞めます!現場監督として一番になるためにここに来たんで!」と啖呵たんかを切ります。すると周りは失笑。「おうおう、ヤバい奴が来たぞ…。」と言わんがばかりの雰囲気になったのですが、そこにいた現場監督の1人が「お前、今の若い奴っぽくなくて面白いな。気に入った。明日から俺について来い!監督見習いとしてお前を使ってやる!」といった具合になり、結果的に僕は入社してすぐに見習いとして現場に携わる仕事をさせてもらうことになったのでした。

現場に出ると、僕の想像していたものとは違って職人さんたちがやけにフレンドリーで、「なんで?」とか思ったのですが、実は職人さんたちは全員、父のことを知っていて、それでその息子の僕ということで、最初から好意的に接してくださっていたということは、後からわかったことです。

職人さんたちは僕に、それこそ現場のいろはから、監督としてどんな仕事をすべきか?を、僕に叩き込んでくれました。もちろんそこには厳しさはあるのですが、でもどこか父の会社のあの棟梁さんのようにあたたかく親身になって僕に仕事を教えてくれたように思います。今でもほんと感謝しかありません。

職人さんたちの助力により僕は、入社半年という異例の早さで現場監督を任され、すぐに会社で一番の現場数を任されるポジションになり、監督として、ひたすら現場を回しました。

でもここでもやはり、相変わらず周りから変な奴と認識されるのですが、だったら「やれるだけとことんやってやれ!」とばかりに多くの現場をひたすらこなし、結局、2年足らずの間に、15棟近くの現場に携わらせていただくことができました。

「みんなが3年かけてやるなら自分は1年で!」そんな思いで駆け抜けた、周りに変な奴と思われ続けながら過ごした、あっという間の2年間でしたが、現場の職人さんたちには、たいへん可愛がってもらい、「現場監督とはどうあるべきか?」短期間のうちに大事なことを身につけることができた濃い時間であり、そして同時に、この仕事は僕に向いているということを実感できたのでした。

結局、会社は2年ほどで辞め、僕はエーテルに戻ることを決めたのですが、その理由は、僕の担当していた現場の職人さんに、エーテルの家も作っている職人さんがいて、その方が「エーテルに秀弥くんのような監督がいればなお最高なのに。」と言われたからです。

「時は来た!」と思いましたね。たった2年足らずで父の会社にいきなり戻ったので、父も驚いていましたが、外を経験してきた手前、父も僕を会社に入れないわけにはいきません。そんな経緯で、エーテルではすぐさま現場監督となり今に至ります。

エーテルに入ってまず感じたのは、ここの職人さんたちのレベルの高さです。父はこれまで賃貸の家を中心にかなりの棟数を建ててきたのですが、たぶんですが、父は現場で、かなりの無理難題を職人さんたちに要求していたのだと想像できました。

専門的になっちゃいますが、賃貸の家なのに吹き付け断熱を採用していたり、狭小地​​に建てる難しい家ばかりを建ててきたりと…、厳しい現場をこなしてきたことによって結果的に、エーテルは、百戦錬磨の職人さんたちだけが残る、非常にレベルの高い職人さんの精鋭部隊の現場になっていたのです。

そんな職人さんを束ねる監督として、「この会社の施工レベルの高さを生かした家を建てたい。そんな家をエーテルのメインの商品にしたい。」

いつの頃からか、現場を担当しながら考えるようになっていったのだと思います。

「うちの職人さんたちであれば小細工なしで基本住宅性能を出せる!この素晴らしい技術をどうにか生かすことはできないか?」

そんな時に出会ったのが、あの新潟で出会った空調管理システムです。このシステムをしっかりと稼働させるには、家自体が持つ基本住宅性能の高さが要求されます。もうこのシステムこそエーテルが扱うしかないと思いましたね。

このシステムの導入を決め、初めてこのシステムを搭載した家を監督した時、完成まじかの現場に突然、いきなり住宅の性能を測定する会社の人たちが入ってくるという、ちょっとした事件が起きました。

「え?誰この人たち?」現場の職人さんもあっけとられる中、勝手に気密性の測定が開始されました。後からわかったのですが、父が勝手にこの現場の性能測定を依頼したようです。

普通、住宅の気密性を測定する時は準備をするんです。気密テープを貼ってみたり、コーキングを打ってみたり、それが普通。なのに今からこの家は、まったくの抜き打ちで検査が行われることに…。

抜き打ちで行われた性能検査

しかししかし、測定が終わって上がってきた結果はなんとC値0.6。気密性が高いマンションで1.0とされている性能値を余裕で上回る数値を叩き出したのをみた時、エーテルの職人さんたちの技術の高さを改めて認識し「この会社に戻ってきてよかった!」と改めて思いましたね。

ちなみにその家にコーキングだけを追加で施して、再度測定したら0.4の値がでました。気密テープなど、さらに数値を高めることまでしたらどんな数値がでるか予想もつきません。まさに僕の現場の職人さんたちが作る家は、魔法瓶の家です。

良い職人さんたちを束ねて「良い家を作る」という同じ目標に向かって作ると勝手に良い家はできる(基本住宅性能値は良くなる)。僕を監督の道に導いてくれたあの大工の棟梁さんが言っていたことは本当でした。

今、そんな現場を仕切れていることに幸せを感じますし、この凄さを住む人がダイレクトに感じるような家を建てたいと、どこかでずっと思ってきて行き着いたのが今の「一年中秋を実現する家」なんだとしみじみと感じるわけです。

あ、すみません、昔を思い返していたら、ついつい長くなってしまいました。さて、次はいよいよ最終章です。実在するモデルが存在する財前様の家づくりのその後はどうなったか、ぜひ最後までお付き合い下さいませ。

監督見習い時代の僕

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DAY2は明日、届きますが、今すぐ読みたい方は先読みもできます。以下の簡単なアンケートを提出して今すぐ読んでみてください。

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