第四章

そして実現へ

これまでのお話し、僕のお話しした内容が、財前様ご家族の家づくりにとってのヒントというか、なんらかの道筋を示すことはできましたでしょうか?
財前さん
いやー、家づくり以上のことを考えさせられた。短い時間にも関わらず。それで俺が、この秋を実現する家を建てるとなったら今後はどうしたらいいんだ?
ありがとうございます。財前様におかれましては、一年中秋を実現する家を検討されたいということでよろしいですね?
財前さん
ああ、頼むよ。
ありがとうございます。くどいようですが最後に、私どもの家のコンセプトをお話ししておきます。一年中秋を実現する家は、気圧をはじめとする空調管理システムと、高い施工レベルで実現する魔法瓶の家、この2つが合わさってはじめて実現します。
財前さん
うん。よくわかったよ。監督の力だって言いたいんだろ?(笑)
いやいや(笑)このような仕組みになっている家の中で、財前様ご夫婦とターくんにどのようなことが起こるかということをぜひ、想像しながら家づくりを進めてもらいたいと思います。間取りを考える時もですね。
奥様
ターくんはここが居心地が良くて、すでに寝てるからね。そんな家で育ったら、どんどん大きくなりそう(笑)
財前さん
楽しみだな。でも秋を実現するにはその、空調システムみたいなものを入れないといけないわけでしょ?建てるときに制限とかはないの?
ないと言えば嘘になります。家中の空気を循環させるのに、どうしても吹き抜けを作る必要があるなんてところはありますが、基本的には完全自由設計なので、間取りはご要望に沿った提案をさせていただくことができます。
財前さん
へえ。吹き抜けが必要なんだ。まあでも自由設計と聞いて安心した。
設備等は自由ですから、ご主人様や奥様がゴージャスなものをお好みであれば自由にお選びください。
奥様
私はいらないわよ。換気扇が飛び出してくるやつとか。使い勝手が良いものがいい。使うの私だし。
財前さん
そこはお前に任せるよ。で、今日、家づくりをスタートしようとしたらどのくらいで建つの?
例えば今日から家づくりを始めたとして、あ、財前様は建てるための土地はお持ちですか?
財前さん
うん。もう更地になってる。買ってある。
わかりました。ということであれば、その土地に合わせた間取りを考えていくのですが、その期間が1ヶ月くらいでしょうか。財前様ご家族にとっての理想の間取りを僕と一緒に考えましょう。
財前さん
え?秀弥くんが提案してくれるの?
ええ。現場監督ですが提案担当でもありますから。
財前さん
それは頼もしいな。
それである程度プランが決まったらここで仮契約になります。全体の金額もわかるので、ローンを使う場合はここで事前審査を行う形になります。
財前さん
なるほど。でも俺は現金だよ。
かしこまりました。仮契約をいただくと今度は、実際に建つ図面を仕上げていきます。設備仕様とか内装の細かな指定とかですね。その作業に1ヶ月くらいかかるでしょうか。この時間は特に奥様にとって、非常にワクワクした楽しい時間になると思いますよ。
奥様
そう!早くそれをしたいのに、これまでなかなか具体的な話にならなかったからヤキモキしてたのよ。
最終的な仕様と金額が決まるとここで本契約になって、工事がスタートする形になりますね。
財前さん
今から2ヶ月後に着工か。なるほど。工期は?
家の大きさや土壌の状態にもよりますが、4ヶ月、長くても半年で家は完成します。うちの場合は外構工事までやらせていただくことが多いので、それを含めての工期ですね。
奥様
わあ、半年後には私たちの家が完成してるのかー。楽しみー!
財前さん
空調システムみたいな大掛かりなものを入れるにしては工期は普通なんだね。
ええ、僕が現場を管理してますから。
財前さん
なるほど。
財前さん
さあ、じゃあ家を具体的に考えてみるかな。
ありがとうございます。僕としても財前様のような方の家づくりに携われることは非常に嬉しいですしやりがいがあります。財前様のような目の肥えた方にこそ、感動してもらえるような家を完成させてみせますので、ぜひご期待ください。
財前さん
お、ハードル上げたな?
ええ。大丈夫です。それだけの家です。この家は。
財前さん
おお、いいね。俺としては今日の話で、息子と一緒に会社をやっていくことを改めて考えさせられたし、いい機会になって良かったよ。終始一貫、その息子から忠告をもらっている感じがしてたもんな(笑)でも、なんだか久しぶりに息子の話を聞いてみたくなったよ。
その時は財前様が建てた家にマーくんを招いてあげてください。その中であれば財前様はお話しやすいお父さんになっているはずですから。うちと一緒で(笑)それともいっそのこと、2人が働きやすいように事務所も建て替えましょうか?
財前さん
それ、本気で考えようかな(笑)
奥様
だめだよ。ターくんの家が先だからね!

おしまい

あとがき

さていかがでしたでしょうか?実際にうちの家を見に来られた方のエピソードをもとに物語にして、家づくりについてお伝えしてまいりましたが、あなたの家づくりの参考やヒントになりましたでしょうか?もし少しでもそうなれたのであれば幸いです。

財前さんのモデルになった方なのですが、実はこの後、ご自宅と事務所を2つ一緒に考えていただけることになりました。マーくんとターくん、両方の息子さんのための家を考えることになったわけですね。この後の財前さん(のモデルの方)は、どんどん温厚になっていかれたように思います。家づくりを通じて、何か忘れていたものを取り戻したともおっしゃってましたね。

家はその中に住む家族を変える力があります。人を作る力があります。というよりも家づくりからして、すでにそれはスタートしているのかもしれません

家族のための家を建てる。このシンプルで当たり前のことを多くの方が忘れています。情報過多の現代が、そうさせているのかもしれませんが、多分ですけど、それはもしかすると、建てる人に初心を思い起こさせるためなのかもしれない…。僕や財前さん、あるいは多くの方に同じことが起きているのを見るたびに、そんなことを感じる今日この頃です。

さて、これまで長い文章に最後までお付き合いくださいまして誠にありがとうございました。この物語があなたの家づくりの少しでもプラスになることができたとしたらこんなに嬉しいことはありません。

最後にこの物語を書かせてくれた、財前さん(のモデルになった方)と被災地で素晴らしい絵を描いてくれた子どもたち、そして父、母に感謝を申し上げて終わりにさせていただこうと思います。

あなたの家づくりの成功を岐阜県多治見の地より心からお祈り申し上げております。

エーテル
伊藤秀弥

コラム

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