第六章
伝説の営業マンが住宅業界から離れて
磨きをかけてきたこと
そして週末、勇人くん夫婦が再度、展示場にやってきたのでした。
ガチャ
コラム
思いやりの心こそ
家づくりには必要
私が小学校2年生の頃、母が祖母との確執により精神的な病になり、突然、自分からは母がいなくなったような体験を経験しました。
母の精神的な疾患は重く、当時はそんな病気さえ認識されていない時代。医者からは今では放送禁止用語の呼び名(き●●●)を母につけられ、でも「私は母はそうではない!」と信じて、すごく悔しい思いをしながら育ったのが私の幼少期でした。
母がそんな状態になったので父は離婚を決意、ある夜父から「お前は俺とお母さんのどっちを選ぶんだ?」と話された時の光景は今でも目に焼きついています。
その時、私は本心から父にこう返しました。「どっちも選べない…」迷うことなく自分の口からこんな言葉が出たことに驚きましたが、その言葉を聞いた父の態度が明らかに変わり、「そうだよね。ごめんね…。」と返ってきた時、父の弱い姿をはじめて見たように思います。
その後、父は、動けない母に代わり、一人で二人分の働きをして私たちの家族を支えてくれました。洗濯、料理、仕事、祖母の看病、母の通院の手伝いまですべて一人でこなし、そんな父の努力も虚しく、母の病気が良くなることはなく…、大人になるまで過ごした、それが青年期の私でした。
母がそんなことになったことで、周りは「お前のところ大変だよな。」と哀れんだ目でいつも見てくるのですが、私としては何も不幸せを感じることはなく、それどころか、一人で二人分の働きをする偉大な父と、病気になる前と少し病状が良くなった時の母の思いやりの深さを常に感じて、愚れることもなく、21歳で起業するまで。私は両親に大切に育ててもらったという感謝の気持ちしかありません。
私たちの家族にあったものは、豪華な生活でもなく、母が病気なので明るい家庭でもなかったですが、1つだけ、”思いやり” が溢れていた。もしかしたら母が病気になったことでそれがないと、家族がバラバラになってしまうからこそ、父や母、そして私に、人に対して常に思いやりを持って接する習慣を植え付けていったように思います。
ただこの私の性格、”誰かに思いやりを持って接すること” は、時に誰かにとっては重くなったり、変な人間に裏切られたりと、マイナスを作ったこともあるのですが、幼少期に培われたこの性格は変わることなく、常に同じような生き方を貫いてきたんですね。
従業員6人にいきなり裏切られ会社を乗っ取られたこともありました…。そのショックでがんになり、手術をしたら診断ミスでがんではなく、ただお腹を開けられただけという不幸を体験しました…。人生いろいろあったことはあったのですが、その度に私を救ってくれる人もまた、思いやりがある人だったりしたことで、「人が生きる上で、思いやりを持って接することが一番大事なこと なんだな。」それが自分のポリシーのようになっていきましたね。
思いやりの心。これさえあれば家族は壊れない。たとえおかしくなっても修復ができる。それを私は人生の中で体験してきた。だからこそ、自分が子どもを持った時、子どもたちにもそれを伝えてきたし、大人になった息子娘たちが、家族を持って幸せに暮らしていること。そして私と妻、子どもたち夫婦と良好な関係を築けていることに今、この上ない幸せを感じるんですね。
これまでたくさんの家を建ててきましたが、失敗する家というのは、売り手はもちろんのこと、お施主さん側も急かされて、考える暇をなくした状態で建ててしまうことで、”双方に思いやりの心がかけた状態” で完成してしまった家である という特徴があります。そしてそれがこの業界のやり方として定着してしまっている。それしかやり方を持ち合わせていない。だからこそいつまで経っても住宅業界は同じまま。
私のこの、おせっかいで、人を思いやって接するという性格は、時に理想の家を完成させることも多々あって、それがこれまで住宅人として歩んできた私の働き方だったように思います。住宅こそ思いやりの心が大事というこのポリシー。40年もこの仕事をやめられないのもそこに理由があります。
私の理想としてずっと、お施主さんに思いやりの心で接して、お施主さんに思いやりの精神を全開して家づくりに望んでもらいたい。それを全員の人に行いたい。そんなことをずっと思ってきた。だからこそ今、倉地加奈子さんと出会っていると思うんですね。
うーん、なかなかこの思いやりという部分は説明しにくいのですが、あえてわかりにくくも言葉にしてみました。また何を言っているかわからない人と言われてしまいそうです…。
ということで次の章がいよいよ最後になります。ぜひお付き合いくださいませ。
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