初めまして、こんにちは。伊藤秀弥ひでやと申します。

この書籍には、「家の中を一年中秋にしたらそこに住む家族はどうなるか?」ということが書かれています。例えば、我が家では最近、こんなことが起こりました。子どもが体調を崩したのですが、ふと気づくとそれは1年ぶりだったんですね。ディズニーランドに行ったおり、ホテルに滞在していた時に子どもが風邪をひいてしまったんです。その時ふと思い出します。「あ、そういえば、なんか久しぶりに子どもが風邪を引いたな。」と。家の中を秋にするとこんなことだって起こったりします。

さて、あなたは家づくりを考える時、何を目的に建てるのでしょうか?ステータスでしょうか?見栄でしょうか?デザインだったり、性能、広さ、豪華な設備のためでしょうか?さまざま理由はあると思いますが、現代社会では家づくりに関する情報がありすぎて、「家づくりってはたして何が正解なのか?」いまいちよくわからなくなっている方も多くいらっしゃるように見受けられます

でも、そうなっている方々に僕が改めて「あなたは最初、何のために家を建てたいと思ったのですか?」とお聞きすると、しばらく考えて、「…あ、最初に家を考えだしたのは家族のためです。」と思い出すように言われたりする。大量の情報が、建てる人の初心を忘れさせてるんですね。

この読み物は、まさにそういう方、「家族のために家を建てよう!」とした初心をお持ちの方のために、”家族のための理想の家とは何か?” という部分に迫っていくものです。

巷に溢れる情報とはちょっと違った「家族にとって理想の住まい方とはなにか?」という角度から、家づくりを考えていただける機会になるはずなのでぜひ、最後までお付き合いくださいね。

申し遅れました。僕は伊藤秀弥と申しまして、岐阜県多治見市で「一年中秋を実現する家」を販売、施工している者です。僕自身も自分でこの家を建てて、現在、家族で生活しています。

世の中にはたくさんの家がありますが、この「一年中秋を実現する家」は ”そろそろ家族の重要性に気づいた方” や、”もともと家族のために家を建てたかった方” にとっては、非常に面白い家になっていると自負していまして、事実、そういう方々が僕の家の中を見せてくれと日々たくさんやってきます。

これから始まるストーリーは、ある時、インターネットから、僕の家づくりのコンセプトに興味を持った方が、問い合わせをいただいて、実際に見に来られた時の会話をベースに書き下ろしたものです。最後までお付き合いいただけると幸いです。

それでは物語の始まりです。その方、財前様ご夫婦は、奥様がたまたま僕たちの会社のサイトを見つけてくれたらしく、奥様の名前で、僕の家の内覧会に申し込みをいただいたのでした。それもあり、ご主人の財前様はあまり乗り気ではないご様子。ご夫婦は、僕の家の前に車を止めると、お子さま連れ3人で車を降りられました。

第一章


家を建てる意味

財前様ですね?お待ちしておりました。エーテルの伊藤秀弥です。遠いところからお越しくださりありがとうございます。
財前さん
あー、嫁がどうしても見たいって言うから来ただけだけどね。とりあえず家の中、見せてよ。
奥様
ご、ごめんなさいね。主人、あまり乗り気じゃなくて…。
いえいえ。ぜひ、ゆっくり中を見ていってください。

この時のご主人さんは、奥さんにいやいや連れてこられた感じで、明らかに僕の家を見る内覧会に対して嫌悪感を持たれていたように思います。

財前さん
(玄関を開けようとして)ん?何だこのドア?重たいぞ。
奥様
まあ!これが気圧ね?
そうです。気圧が関連しています。
財前さん
気圧?なんだそれ?まあいいや。お邪魔するよ。

ご夫妻は僕の家の中に入られました。

財前さん
ふーん。展示場ではないとはいえ、普通の家だなあ。俺が前見た展示場はもっと豪華絢爛だったねえ。
奥様
もう!あなた!伊藤さん、ごめんなさいね。主人はこういう人なので…。
いやいや、おっしゃる通りです。中は普通だと思いますよ。正直なご意見です。

この時、1歳半になるお子さんが僕の家のリビングを走りまわりはじめました。

奥様
ターくん、ダメだよ!人の家だから走っちゃダメ!
大丈夫ですよ。だいたいうちに来ると子どもはみんなこうなるので。そういえば奥様、今回の内覧会は、インターネットで ”気圧をコントロールする家” みたいなことを検索されて見つけられたんですよね?
奥様
そう。最近、全館空調とか流行ってるじゃない?私、偏頭痛持ちなので、そういうものが緩和される家を探していたら、”気圧” というキーワードに行き着いて、調べていたらエーテルさんの家が出てきた感じね。
ありがとうございます。そういうことだったんですね。
財前さん
おい、さっきからお前、気圧気圧ってなんだよ。
奥様
私だっていろいろと調べてるの!
財前さん
ふん。それよりこのキッチンはなんだ?建売りとかでよく見るやつじゃねーか。この前見た展示場のやつは、カウンターから換気扇がウィーンって出てくる最新のやつだったぞ。
奥様
でもあなた、あれは実用的ではないって自分で言ってたくせに(笑)
財前さん
お前は黙ってろ。いくら実際に住んでいる家とはいえ、モデルハウスとして客に見せるんだったら見た目も大事だろうが。
おっしゃる通りです。もちろんそういう豪華なキッチンにもできますが、僕の家はこうなってますね。
財前さん
ふん。それよりおたく、何歳?
僕ですか?26歳です。
財前さん
26??若いねー。家づくりなんてものはある程度、年齢を重ねないと良い提案なんてできないんじゃないのかねえ?
奥様
もうちょっと嫌み過ぎよ!
いやいや若いのは事実ですから。父の会社に入ってまだ3年しかたってませんし。僕の会社は父と僕の2人で経営しています。
財前さん
へえ。親父さんが会社をやってるのか…。26と言えば俺の息子と同じ。奇遇だな。俺の息子も俺の会社で今、働いているよ。まあでも、今の若い奴ってほんと何考えてるのかわかんねーよ。
僕の父も、僕に同じことを思っています(笑)そうでしたか、息子さんと僕は同じ立場なんですね。ご主人様は会社を経営されているんですね?
財前さん
まーね。でも今、うちの会社で働いているのは、別れた嫁との26になる息子だけだけどな。(奥様を指差し)あ、これは新しい嫁ね。
奥様
これはやめてよ!私たち、結婚して2年になるんだけど、子どもができたことで家のことを考え始めたのよ。今のマンションじゃ、いずれ狭くなるだろうしって。
なるほど。じゃあ、今回の家づくりはお子様のための家ですね。それで建てたい家のイメージはできてきましたか?
奥様
いや全然!主人ったら展示場とかをたくさん見れば見るほど、あれもつけたいこれもつけたいってなって、ぜんぜん話が前に進まないのよ!
金銭的に余裕があると、今の住宅はできることが多すぎますからね。必然的にそうなりますよね。ご主人様、もし差し支えなければ、どんなお仕事をされているか教えていただけますか?僕も父の後を継ぐ立場にありますので。
財前さん
おー、俺の息子とは違って謙虚だな。実は今の俺の会社は、おたくの親子と同じ、俺と息子の2人だけなのよ。3年前までは20人以上の従業員を雇っていたんだけどさ。ある時、いきなり専務以下全員逃げちゃってね…。
それは大変なご経験をされているんですね。でもなぜ専務さん以下が一気にやめられてしまったんでしょうか?
財前さん
…、まあ、俺の問題さ。会社を大きくすることだけに没頭しすぎたな。高級車乗り回して、付き合いだと、ろくに会社にも戻らず、現場も下の奴に任せっきりで、数字しか見てなかったらさ。それだけを見てたら、下の人間は嫌になったんだろうな。まあ、痛い目見たよ。いい勉強になった。
奥様
愛人もいっぱいいたもんね(笑)
財前さん
ふん。あいつらときたら、会社が傾いたら見事に全員いなくなったけどな。
奥様
それで寂しそうだったから私が救ってあげたというわけ♡
財前さん
ばか。俺が救ってやったんだよ。
奥様
はいはい。あなた、従業員さんたちに逃げられた時、大事なことを学んだんじゃなかったの?人の心が大事だって言葉はどこにいったの?その高圧的な態度にみんな嫌気が差したんだよ。
財前さん
うるさい。お前は黙って俺についてくればいいんだ!
奥様
黙ってついてきたら、家が全然決まらないじゃない!だから今回、私が動いたんだから。
なんかご主人様って、昔の僕の父とよく似てますね。もしかしたら僕と息子さんとで話が合うかもしれません。父もこの会社を15年経営していて、昔、ご主人様と同じように部下に一気に逃げられた経験があるんですよ。それが原因で大病も患ってるんです。それからは、ずっと1人で会社をやってきたのが父です。あ、僕がこの会社に入るまで、ですが。
財前さん
へえ。俺と昔の親父さんはまったく一緒か。今は、おたくと親父さんの2人の会社…、26歳の息子…、親父さんとは気が合いそうだな。
きっと話が合うと思います(笑)
財前さん
で、おたくの会社が売ってるこの家は親父さんが考えた家なわけだ。
いえ、僕考案の家です。僕考案というより僕が採用を決めたシステムを搭載した家ですね。
財前さん
え?親父さんがもともと建てていた家じゃないの?
違います。僕がこの会社に入ってから販売する家をこれに変えました。
財前さん
へえ。親父さんの会社なのにそんなことあるんだ。
父もご主人様と同じような働き方をしていた頃、僕ら家族にとって、家にいて欲しい時にいてくれない父だったんですよね。でも失敗してからは変わりました。父にとってはそれは失敗だったかもしれないですけど、家族にとってはそれが、逆に良かったと思うんですよね。それ以来、僕の家には常に父がいた。そういう環境で育った僕が、自分で本当に売りたい、建てたいと思った家が今、僕たち親子が販売している家なんです。
奥様
ねえ、あなた!運命を感じない?伊藤さん親子ってこれからのあなたにまさに必要な人なんじゃないの?息子たちのためにも。
財前さん
確かに26になる息子は、ずっと前嫁に任せっきりで育てたから、何考えているかさっぱりだからなあ。あいつが俺の会社で働きたいって言った理由もよくわからんし。
僕にはわかりますよ(笑)ご主人様、改めてお聞きしたいのですが、ご主人様が今回、新たに家を建てたいと思った最初の理由はなんですか?
財前さん
さあ、なんだったっけな。忘れたよ。
もしかすると昔の僕の父のように、仕事で突っ走ってきて人生の曲がり角になった時、これまでの生き方とは少し違ったことをされたい、という思いから、家づくりを考え始めたのではないですか?
財前さん
ん?なぜ唐突にそんなことを言う?
家づくりって本来そういうものだからです。人が家を建てる時というのは無意識に、今までと違った生き方とか、ライフスタイルの変化を求めて建てようとすることが多いんです。でも、家づくりをはじめるといつの間にかそんなことは忘れて、目先のきらびやかなものに目移りしてしまって、自分が建てたかった家とは何か?を、忘れてしまいがちになるんですよね。現代の家づくりはそれだけ情報がありすぎますからね。どうしてもそうなる。実際、ここに来るほとんどの方がそうなってる気がします。
奥様
秀弥くんの言う通り!家づくりを始めてからあなた、また昔に戻ったみたいで嫌な感じになっていたわよ。
財前さん
うるさいな。だから自分でも嫌になって、家なんて住めればいいや!くらいに最近では投げやりになっていたんだよ!
しょうがないですよ。今の家づくりって情報がありすぎて、建てる人の初心を忘れさせるようになってますから。でもそれではもったいないです。家にはそこに住む家族の人生を変える力があります 。同じ年齢の息子の立場から言わせてもらえば、息子さんがご主人様の会社で働きたいと思った理由はなんとなくわかります。ひょっとすると息子さんは20人の社員さんが一斉に辞められてから、ご主人様の会社で働きたいと言われたのではないですか?
財前さん
そ、そうだけど…、なんでそんなことがわかる?
僕の父もまったく同じでしたから。以前は、たくさんの部下を抱えてバリバリ働いていた。でも、息子としてはそこに憧れは感じていなかったんです。それより、失敗して家に戻ってきてくれるようになってから父との時間が増え、たぶん、その時間がなかったら僕も父の会社に入ろうとはしなかったと思います。もしかしたら、息子さんはご主人様との時間を取り戻すために会社に入られたのかもしれません。
財前さん
そ、そうなのか。
奥様
ほんとそうかもね。マーくん(26歳の財前様の息子)の気持ちは。私も社員さんに逃げられた時のあなたに惚れたんだから(笑)あの時のあなたはな感じがして素敵だったわよ♡でも家づくりを始めて以来、また昔の嫌な感じのあなたに戻ってきてるけど…。
しょうがないですよ。普通に家づくりを考えたら誰だってそうなります。でもご主人様は幸せな方だと思います。
財前さん
そ、そうか?
ええ、普通、社員さんが一斉にいなくなった時に、息子さん、マーくんでしたっけ?が会社に入ろうとしたり、目の前に奥様のような素晴らしい方がいらっしゃったりすることのほうが少ないはずです。会社に入ろうとした息子さんの気持ちはなんとなくわかります。嬉しかったんだと思いますよ。マーくんを代弁すると、「お父さん、これからは家族のことを一番に考えてくれよ」って言ってる気がします。幸い、僕は父がそれをしてくれた時間が長かった。それが嬉しかった。そこにいる小さなターくんのこれからの人生も、財前様がこれから建てる家で決まるかもしれません。
財前さん
ほ、ほう。若造、言ってくれるじゃないか。でも確かに息子に言われている感じで耳が痛いわな…。なるほど、今回の家づくりは、俺の人生の第二ステージのための家づくりなのかもしれないな…。息子や家族との付き合い方を考えること。今までまったく考えてこなかったからな…。それを取り戻したかったのか…。
奥様
あなた…。

この時、どこからか寝息のような音が聞こえてきます。

あ、ターくん、寝てしまいましたね。
奥様
え?ねえねえ、あなた!見て!ターくん寝てるよ。
財前さん
え!?嘘だろ?
奥様
うちの子、ぜんぜん寝ないのよ。まして人様の家でなんか絶対に!なのに気づかないうちに寝てる!
あ、僕の家だとだいたい子どもは寝ちゃいます。
財前さん
なんで?
今、真冬なので外はとても寒いですが、この家の中に限り、”秋を実現できている空間だから” です。日本の秋は気持ちがいいですから、子どもはたいてい眠くなりますね。
財前さん
秋?
そうです。この家の中では気温、湿度、気圧、空気の質が完全にコントロールされていて、一年中、日本の秋の状態を実現できています 。ちなみに僕の子どもも、外ではまったく寝ないんですよ、ターくんと同じ。でも、この「一年中秋を実現する家」を実現するシステムを実装した試験棟を、家族ではじめて訪れた時、ターくんと同じように数分で寝たんですよね。「え?なんだこれは?」って。で、その夜には、すでに僕は、「こんなことができる家を建てたい!住みたい!売りたい!」ってなってましたね。それで今に至ります(笑)
財前さん
秋を実現する家?聞いたことないぞ。
ないはずです。うちでしかできませんから。というよりもこれまで、それをするという発想自体がなかったはず です。家の中の季節を一定にコントロールするという発想自体 が。「家の中を一年中、日本の秋にするという発想」これが一戸建てで実現できた時、その家は家族のための理想の家に変わります
財前さん
家族のための理想の家?
ご主人様はこれからも経営者としてお忙しいはずです。ターくんと奥様と過ごす時間も限られている。でも家に帰ってきた時、そこに家族のポテンシャルが120%発揮される空間があれば、同じ過ごす時間でも質がまったく違ってくるはず です。一年中秋がそこにあるわけですからね。秋ってそれほどの力がある。すべての人のポテンシャルが120%発揮される。実りの秋、勉学の秋、スポーツの秋、食欲の秋、芸術の秋…、何をするにも最高の季節、それが日本の秋ですから。
奥様
確かに。この中は秋!って感じがする!そりゃターくんも寝ちゃうわけだ。
家の中を一年中秋にすると、ターくんが寝てしまう以外にも様々なことが起こります。
財前さん
何が起こるんだ?
そうですね。わかりやすいところで言うと、スリッパが要らなくなります。秋は素足で歩きたくなりますから。これによって子どもさんがそこらじゅうを走り回ります。
財前さん
そう言えばさっき、ターくんも走ってたな。
喋る人はさらに喋るようになり、歌う人はさらに歌うようになります。説明が難しいですけど声が大きくなるんですよ(笑)日本の秋の気候は、どうも副交感神経にプラスの作用をもたらすらしいです(笑)
奥様
あなた、さっきから声でかいわよ(笑)
財前さん
そ、そうか?いつもだよ。
さらに睡眠の質が上がるので家族みんなのイライラがなくなります。秋は寝れますからね。
奥様
よく寝れるって♡イライラしているあなたにぴったりじゃない。
財前さん
ま、まーな。今の家は寝れねーからな。
あ、そうだ。奥様は偏頭痛持ちだとおっしゃったので、おろらくそれにもプラスに作用するはずです。奥様、ここに入られて30分ほど経っています。体調はいかがでしょうか?
奥様
あ、そういえば体調がいいような気がする。
これらのことは、家の中を一年中秋にすると起こることのほんの一部です。その他にもいろいろなことが起こるのですが、総じて家族が家に帰りたくなる空間がそこに作られるので、必然的に家族との時間が増えます ね。
奥様
それ!理想!
財前さん
ほう。なるほど。でもどうやって家の中を一年中秋にしてるんだ?
ポイントは気圧です 。温度と湿度、空気の質に加えて、気圧をコントロールできてはじめて家の中が一年中秋になります
奥様
それで気圧だったんだね!
そうです。秋を実現するには、気圧コントロールがどうしても必要になる。また、家の中の気圧を制御して、一年中秋の高い気圧を維持するには、高い住宅の性能が必要になります。気密断熱性能ですね。建物が穴だらけで気圧が抜けてしまったら気圧はコントロールできませんから。そしてこれはカタログ値ではなく、実際の家で高性能が実現できていないとできません。
財前さん
この家は気圧が高いのか。
そうです。一年中、大体1020ヘクトパスカル前後を保ちます。そこに気圧計があるので見てもらいたいのですが、そのくらいの数値になっているはずです。10月11月くらいの爽やかな晴れた日の日本がだいたいそのくらいの数値です。
奥様
あ、ほんとだ。1020を示してる。
財前さん
ちょっと待てよ。気密断熱性をうたう住宅はけっこうあるけど、それだけじゃダメってことか?
ダメではないですが、家の中に一年中秋を実現しようとするとそれだけでは不十分 です。気密断熱性だけでは、家の中の季節は変わりません。気温と湿度、空気の質に加えて、気圧までコントロールして初めて、家の中の季節が一年中秋になる というわけです。
財前さん
なるほど、季節のコントロールには気圧か。
そうです。空気全部ですね。ここまでの話はいかがでしょうか?一年中秋を実現する家という発想。僕はこの発想の家こそ、家族のためにふさわしいと思った。だから建てたいと思ったし、こんな家を誰かに建ててあげたいと思った。もちろんそれは、家族のための家を建てたい人にですが。もし財前様ご夫婦が今、僕との話の中で、家族のための家を建てたいと改めて思うのなら、この家は検討するに値すると思うのですがいかがでしょうか?
財前さん
なるほど。そういうことか。俺は初心を忘れてしまって家づくりを通じて、実は不必要なものをベタベタつけた家を建てようとしていた気がする。ターくんが幸せそうに寝ているのを見ると、俺にはこういう家が必要だったのかもしれないと思えてくるわな…。正直、家づくりを考えてから嫌になりかけていたからさ。何か違うって…。そこには俺の理想はなかったわけか…。”家を建てる意味” をずっと探していたのかもしれない。
奥様
ターくんの寝顔を見てると見えてくるね。私たちにとっての必要なものは何か?がね。
あと、ご主人様にとって、この家に住む一番の効用は、ご主人様を社員の人がいなくなったあの瞬間に戻してくれることだと思います。ものすごく失礼なことを申し上げていることは承知しているのですが…。
財前さん
ん?よくわからんが。
これ、僕の父が、この家に来ると起こっていることなのですが、ここにいるときの父は、僕と母が好きな父になっているんですよね。それと同じことが財前様にも起こるような気がします。
奥様
わかる!それ、理想。男の人ってすぐ大事なことを忘れちゃうから。
財前さん
いまいちよくわからんが気になるな…、続きを聞かせてくれ。

今すぐでも読めます

DAY2は明日、届きますが、今すぐ読みたい方は先読みもできます。以下の簡単なアンケートを提出して今すぐ読んでみてください。

上部へスクロール